朝、起き上がることがつらいお子さんに家族が寄り添う様子

朝起きられない・立つと頭痛やめまいがする方へ

起き上がるとつらく、横になると楽になる症状を、脳神経外科の視点から丁寧に評価します。

起立性調節障害とは

起立性調節障害(Orthostatic Dysregulation:OD)は、立ち上がったときの血圧や心拍などの循環調節がうまく働かず、さまざまな不調が現れる病態です。特に小児から思春期に多くみられます。

朝は非常につらく、午後から夕方にかけて動けるようになるなど、時間帯によって症状が変わることがあります。「怠けている」「気持ちの問題」と誤解されることがありますが、本人の意思だけで解決できる症状ではありません。

「起立性低血圧」は、起立性調節障害でみられる病型・状態の一つです。起立性調節障害には、起立直後性低血圧や体位性頻脈症候群など複数のタイプがあります。

このような症状はありませんか?

朝起きにくい、立ちくらみ、頭痛、午後に改善するという症状のイラスト
  • 朝、なかなか起きられない
  • 立ち上がるとめまい・立ちくらみがする
  • 立っていると気分が悪くなる
  • 起き上がると頭痛が強くなる
  • 動悸や息苦しさがある
  • 全身がだるく、疲れやすい
  • 午前中は調子が悪く、午後から楽になる
  • 横になると症状が軽くなる

症状の現れ方には個人差があります。ほかの病気でも似た症状が起こるため、症状だけで病名を決めることはできません。

脳脊髄液漏出症との関係

起立性調節障害と脳脊髄液漏出症(脳脊髄液減少症)では、起き上がると頭痛やめまいが悪化し、横になると楽になるなど、症状がよく似ることがあります。

一方で、起立性調節障害は主に自律神経と循環調節の異常を評価する病態であり、脳脊髄液漏出症は脳脊髄液の漏出などを画像所見や経過から評価する病態です。現在の診断体系では別の病態として扱われ、受診する診療科だけで病名が変わるわけではありません。

大切なのは病名を先に決めることではなく、どの姿勢で、いつ、どのような症状が出るかを確認し、ほかの原因も含めて丁寧に調べることです。

当院では、一般的な起立性調節障害の評価に加えて、頭痛やめまいの姿勢による変化が強い方には、脳神経外科の視点から脳脊髄液漏出症の可能性も検討します。必要に応じて小児科などの医療機関と連携します。

当院での診察・検査・治療の流れ

症状と経過を確認し、必要性を判断しながら段階的に進めます。

1 問診・診察

発症時期、朝と午後の違い、立位と横になったときの変化、頭痛・めまい・動悸などを確認します。

2 脳MRI

症状に応じて脳MRIを行い、頭蓋内の病変や脳脊髄液漏出症に関連する所見などを確認します。

3 水分負荷による評価

水分を補給した後の症状の変化を確認し、循環血液量や圧の変化が症状に関係している可能性を検討します。

4 胸椎MRI

診察結果から必要と判断した場合に、胸椎MRIで脊柱管内の状態を評価します。

5 適応を判断したうえでの治療

検査結果と症状を総合し、脳脊髄液漏出症に対して当院で行っている治療を応用することがあります。脊柱管内加圧を含む治療は、期待できる効果、限界、リスクを説明したうえで、適応を慎重に判断します。

当院での診療について:この流れはすべての方に一律で行うものではありません。当院では症状の改善がみられた例を経験していますが、効果には個人差があります。また、脳脊髄液漏出症に準じた検査・治療は、起立性調節障害に対する一般的な標準治療として確立しているものではありません。

動画で詳しく解説しています

当院で行っている脳脊髄液漏出症の診断と治療の考え方を、院長が動画で解説しています。

脳脊髄液漏出症の診断方法と、当院の段階的なアプローチ

脳脊髄液漏出症の治療法と、水分補給で症状が変わる理由

朝起きられない、立つと頭痛やめまいがする方へ

起立性調節障害と診断されたものの症状が続いている方、起立性頭痛の原因を詳しく調べたい方は、一度ご相談ください。症状と検査結果を確認し、一人ひとりに適した診療を一緒に考えます。


参考情報

  • 日本小児心身医学会「小児起立性調節障害診療ガイドライン 改訂第3版」
  • 厚生労働科学研究班「脳脊髄液漏出症の画像判定基準・画像診断基準」

最終更新:2026年9月 監修:波多野内科・脳神経外科クリニック 院長 宮本倫行