睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?

睡眠中に一時的な無呼吸状態が繰り返し起こる病気で、さまざまな合併症を引き起こしたり、良質な睡眠が得られないことから交通事故などの原因になることがわかっています。

ご家族やパートナーなどに、いびきやその後の無呼吸を指摘されることはありますか?睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。

睡眠時無呼吸症候群には、大きくわけて閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)と、中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSAS)があります。ともに眠っているときに無呼吸や低呼吸状態になる病気ですが、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)はいびきをかくことが多いのが特徴です。
一般的にSASといえば、閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)を指します。

SASの人は日中に過度な眠気に襲われることがあり、居眠り運転による大きな事故も数多く報告されています。タクシーやトラックの運転手、飛行機や船の操縦を仕事にしている人はもちろん、日常生活で車を運転している人にとっても生命に関わる重大な問題です。

また、仕事での重要な商談や会議中、学校での授業中などに強い眠気に襲われたり、居眠りをしてしまうことがあります。仕事や勉強への意欲も低下し、周囲からは「なまけもの」「だらしない人間」とみられてしまい、本人への不本意な評価とともに、労働の生産性の低下など社会的な影響も少なくありません。

SASは患者さんの生命に関わる病気であり、社会生活を送るうえでも予防や早期発見、治療が必要な病気です。

検査方法

睡眠時無呼吸症候群はまず、簡易終夜睡眠ポリグラフィー(PSG)での検査がおすすめです。以下のような機材をお貸ししますので、睡眠時の呼吸状態を評価しましょう。

1日つけていただいた後に、返却して頂き当院で解析いたします。1時間あたりの無呼吸回数が40回以上であれば、保険適応での治療が可能です。

当院は来院いただかなくても完全オンラインで簡易型PSGが可能です。

こちらからオンライン診療でご予約頂き、無呼吸検査が希望であることを記載ください。(料金はオンライン診療で保険診療3割でおおよそ4000円程度です。送料は往復1000円x2程度です。)

簡易型PSG検査でSASの可能性があり、さらに検査が必要だと判断された場合、入院して終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)を行います。睡眠の質や呼吸状態、体の動きなどを詳しく調べ、SASかどうかを判断します。

治療方法

(1)持続陽圧呼吸療法(CPAP)

持続陽圧呼吸療法(CPAP)と呼ばれる装置を使った治療で、睡眠時にマスクを装着してそこから空気を送り込むことにより気道が塞がるのを防ぎます。日中の眠気が強い患者さんや中等症〜重症の患者さんに行われます。
CPAP治療へ

(2)口腔内装置(OA)治療

寝ている間にあごが下がって気道が塞がるのを防ぐために、患者さんの口に合うマウスピースを作って就寝時に装着する治療法です。マウスピースをつけることで下あごが固定され、寝ている間に気道が塞がるのを防ぎ、呼吸を楽にします。軽症〜中等症の患者さんやCPAP療法ができない患者さんに対して行います。
マウスピースによる治療はCPAP療法と比べると気道が塞がるのを防ぐ効果は低くなりますが、装置を装着する手間が少ないのがメリットです。いびきに対しても効果があるといわれています。

(3)手術による治療

アデノイド肥大や扁桃肥大が原因で気道が塞がり、睡眠時に呼吸障害が起きている患者さんで、CPAP療法やOA治療ができない場合、手術を行うことがあります。

子どものアデノイド肥大は年齢とともに小さくなるのが一般的ですが、SASの症状がある場合は小さくなるまで待たずに手術を行うことがあります。扁桃肥大も同様です。子どものSASで、アデノイドや扁桃の肥大が原因の場合は、手術が有効な治療といえます。

また、鼻づまりが原因でSASになっている場合で薬による治療で効果がない場合には、手術を検討します。

(4)生活習慣の改善

それぞれの治療と併せてとともに生活習慣を見直し、SASの改善を図りましょう。減量肥満が原因のSASに対しては、CPAP療法などの治療と並行して医師等の指導のもと減量を行います。減量することで合併する病気や生活の質(QOL)の改善、心臓や血管の病気リスク低下などのメリットもあります。BMI35以上の高度肥満で、生活指導等による減量が難しい場合は減量手術を行うこともあります。禁酒飲酒によってSASが悪化することがあるため、禁酒が推奨されています。禁煙喫煙によってSASが悪化することがあるため、禁煙が推奨されています。睡眠中の体位仰向けで眠ると重力で気道が塞がりやすくなります。横向きに寝ることで睡眠中の呼吸障害が軽減することがあります。

(5)その他の治療

CPAP療法やOA治療ができない患者さんに対して酸素療法を行うことがあります。ただし、慢性心不全などがある一部の患者さんを除き、SASでの酸素療法は保険適用外となっています。

SASが軽症の場合は、減量や生活習慣の見直しだけで症状が改善することもあります。しかしある程度症状が進んでしまった患者さんは、ひどい眠気のために気力が低下し、減量や生活習慣改善にもなかなか前向きに取り組むことができません。そのような場合は、医師に治療に関して相談してください。

治療によって睡眠の質がよくなると、減量や生活習慣の改善にも前向きに取り組めるようになり、相乗効果が期待できます。